A10 Fusionで導入された性能/効率コアの使い分けに続き、A11 Bionicでは機械学習専用の「ニューラルエンジン」が初搭載されました。スマートフォンが「AIを活用するデバイス」へと変わっていく転換点となった世代群です。

A10 性能と効率の両立

2016年のiPhone 7/7 Plusに搭載されたA10 Fusionは、初めて「fusion」という名称が付き、4つのCPUコアを「高性能2コア+高効率2コア」に分けて使い分ける設計を採用しました。負荷の重い処理は高性能コアが、軽い処理は高効率コアが担当することで、性能と省電力性の両立が一段と進みました。

この「ビッグ・リトル構成」と呼ばれる考え方自体は他社チップでも採用されていましたが、AppleがiOSと密接に最適化したことで、実際の使用感における恩恵が大きく感じられた世代といえるでしょう。

A11 ニューラルエンジン登場

2017年のiPhone 8/8 Plus/Xに搭載されたA11 Bionicは、Aシリーズの中でも特に重要な転換点となった世代です。CPUコアをすべてApple独自設計に切り替え、6コア構成(高性能2コア+高効率4コア)を採用するとともに、機械学習処理に特化した「ニューラルエンジン」を初めて搭載しました。

ニューラルエンジンの登場により、Face ID(顔認証)やAR(拡張現実)機能、ポートレートモードといった高度な処理がスムーズに実行できるようになりました。スマートフォンが「AIを活用するデバイス」へと進化する出発点となった世代と位置づけられます。

A12 7nm時代の幕開け

2018年のiPhone XS/XR世代に搭載されたA12 Bionicは、スマートフォン向けチップとしては世界初となる7nmプロセスでの量産に成功しました。微細化により、CPU・GPU性能の向上と省電力化が同時に進み、ニューラルエンジンの処理能力も前世代比で大幅に強化されています。

コンピュテーショナルフォトグラフィー(計算による写真処理)の本格化も、A12世代から大きく進みました。スマートHDRの登場など、写真表現の幅を広げる機能を支えています。

A13 効率の極致へ

2019年のiPhone 11シリーズに搭載されたA13 Bionicは、性能向上に加え、消費電力の最適化に強くフォーカスした世代です。前世代比で性能を高めながら、同等処理時の消費電力を抑える設計が施されており、バッテリー持ちの改善にも貢献しました。