2010年のA4から2012年のA6まで、AppleはiPhoneチップの設計を自社主導へと切り替え、ハードウェアとソフトウェアの一体最適化を進めました。デュアルコア化やカスタムCPUコアの採用など、初期3世代でAシリーズの基本路線が形作られた時期といえます。

A4 自社設計の幕開け

Appleが自社ブランドで初めて搭載したチップが、2010年のiPhone 4に搭載されたA4です。それまでiPhoneは外部メーカー製のチップを採用していましたが、A4からはAppleが設計をリードする体制に切り替わりました。Retinaディスプレイの登場時期とも重なり、iPhoneという製品の方向性を明確に決定づけた世代といえます。

A4は45nmプロセスで製造され、シングルコアCPUと標準的なGPUを組み合わせたシンプルな構成でしたが、ハードウェアとソフトウェアを自社で最適化する強みは、すでにこの世代から発揮されていました。

A5 マルチコア時代へ

2011年のiPhone 4sに搭載されたA5は、iPhoneとして初のデュアルコアCPUを採用し、マルチタスク処理性能を大きく高めました。Siri(音声アシスタント)が登場したのもこの世代で、CPU性能向上とソフトウェア機能の進化が連動した好例といえるでしょう。GPU性能も前世代から大きく向上し、ゲームアプリの市場拡大を後押ししました。

A6 独自設計の本格化

2012年のiPhone 5に搭載されたA6は、AppleがCPUコアの設計をより深く自社で手がけた最初の世代といわれています。汎用設計のコアではなく、Apple独自の「Swift」と呼ばれるカスタムCPUコアを採用したことで、性能と電力効率の両立が大きく進みました。